第6回 生成AIには「どう聞くか」より「何を与えるか」
分析に必要な情報を先に渡す
生成AIに分析を依頼したものの、
- 「内容が一般的すぎる」
- 「こちらが見てほしいところと少しずれている」
- 「それらしい回答だが、今回の分析には使いにくい」
と感じることがあります。
そんなとき、「プロンプトの聞き方を工夫しよう」と考えることもあるでしょう。
もちろん、聞き方を工夫することは大切です。
ただ、期待した回答が得られない理由は、質問文の書き方だけではありません。
このような場合は、質問の仕方だけでなく、分析に必要な情報を生成AIに十分に与えているかも確認する必要があります。
AIには、こちらの頭の中までは見えない
たとえば、競合企業のパテントマップを生成AIに渡して、
「このマップを分析してください」
と依頼したとします。
生成AIは、件数が多い領域や企業ごとの違いなど、図から読み取れる特徴を挙げてくれるかもしれません。
しかし、分析担当者の頭の中には、生成AIが知らない情報があります。
- 「新しい研究テーマを探すために見ている」
- 「自社には○○という技術的な強みがある」
- 「直近の変化を重視したい」
- 「単なる件数差ではなく、自社との接点を見たい」
こうしたことを伝えていなければ、生成AIはそれを前提に考えることができません。
つまり、生成AIに何を聞くかだけでなく、何を知ったうえで考えてもらうかが重要になります。
生成AIに与える4つの情報
特許情報分析で生成AIを使うときには、少なくとも次の4つを意識すると、依頼内容を組み立てやすくなります。
①目的
何を明らかにしたいのか、何のための分析なのか。
②前提・条件
対象企業、期間、技術範囲、分類ルール、判断基準など、どの範囲・基準で考えるのか。
③背景情報
なぜその分析を行うのか、自社の状況や保有技術、これまでに分かっていることなど、分析を理解するための文脈。
④出力形式
「観察・解釈・仮説」を分けるのか、表で比較するのか、箇条書きにするのか、など、どのような形で回答してほしいのか。
たとえば、
「競合3社の直近5年間の出願動向から、新規研究テーマ候補を検討したい。
自社は○○制御技術を保有している。
競合が出願を増やしている領域と、自社技術との接点に注目する。
観察・解釈・仮説を分けて表形式で示す」
と伝えれば、単に「このマップを分析してください」と依頼する場合とは、回答の方向が変わります。
大切なのは、質問文だけではなく、AIが何を基準に考えればよいかという情報を与えることです。
「何を与えるか」を考えることも、分析の一部
では、目的や背景情報をできるだけ多く与えればよいのでしょうか。
そうとは限りません。
情報が多くても、今回の分析に関係しない情報まで含まれていれば、かえって焦点がぼやけることがあります。
- 何を明らかにしたいのか。
- そのために、どの前提や背景を共有する必要があるのか。
- どの基準で見てほしいのか。
これらを考えてから生成AIに渡す必要があります。
つまり、「何をAIに与えるか」を考えること自体が、分析設計の一部とも言えます。
次に生成AIへ分析を依頼するときには、質問を書く前に、
目的 / 前提・条件 / 背景情報 / 出力形式
の4つがそろっているかを一度見てみてください。
「どう聞くか」だけでなく、「何を与えるか」まで考える。
生成AIを分析に組み込むときの、もう一つの基本になります。
▶ 次回は
次回は、パテントマップの「分類軸」を考えるときに、生成AIをどのように活用できるかを取り上げます。
