分析結果を提案につなげる
「意味のある差」を、次の一手に変える
前回は、比較から見つかった差の中から、今回の目的に関係する「意味のある差」を選び、その差を次の判断や確認につなげる考え方を取り上げました。では、次に確認すべきことが見えてきたら、分析はそこで終わりでしょうか。
たとえば、
「A社では、自社が検討している温度予測制御について継続的な出願が見られるため、関連出願を優先して確認する」
というところまで進んだとします。
ただ、報告を受ける側からすると、
「では、何を、どのように確認すればよいのか」
が、まだ見えにくいことがあります。
今回は、ここから分析結果を次の検討や提案につなげる考え方を取り上げます。
次に確認することが見えても、それだけでは提案にならない
「A社の関連出願を確認する」という確認事項が見えたことは、分析として重要な一歩です。
ただ、そのままでは確認する範囲が広く、次の行動につながりにくい場合があります。
そこで、もう一歩進めて、
「A社の直近出願について、予測対象や制御方法を比較し、自社技術との重なりと違いを確認する」
とすると、次の検討内容が具体的になります。
ここでいう提案は、
「このテーマを開発すべきです」
と結論を出すことではありません。
分析から見えたことをもとに、次に何を、どのように検討すれば判断に近づくのかを示すことです。
分析担当者だけで結論を決めない
特許情報だけで、開発テーマの採否や事業化を決められるとは限りません。市場性、技術的な実現性、自社の強み、必要な投資、顧客ニーズなど、特許情報以外の判断材料も必要だからです。
そのため、分析担当者が無理に、
「この領域へ参入すべきです」
とまで言い切る必要はありません。
むしろ、
「この領域は候補として詳しく見る価値がある」
「判断するために、次にこの点を比較してはどうか」
というように、判断に近づくための検討方向を示すことが、分析結果を使いやすくします。
確認事項を、次の問いに変える
では、「A社の関連出願を確認する」という確認事項を、もう少し具体化してみます。たとえば、
「A社と自社では、予測する対象のどこが重なるのか」
「制御方法には、どのような違いがあるのか」
「自社ならではの差別化ができる部分はあるのか」
と問いに分けることができます。
こうすると、読むべき公報や比較する技術内容も具体的になります。
つまり、分析結果を提案につなげるには、確認事項をそのまま渡すのではなく、次に検討すべき問いへ置き換えることが有効です。

問いが変われば、分析も変わる
新しい問いが出てくれば、追加で公報を読むこともあります。比較軸を変えたり、分類をさらに細かくしたりする必要が出る場合もあります。
これは、最初の分析が間違っていたということではありません。
分析を進めたことで、次に確認すべきことが具体的になり、それに合わせて分析の仕方も変わったと考えることができます。
最初は、
「A社では温度予測制御の出願が多い」
という差を見るところから始まったとしても、
「自社とどこが重なるのか」
「どこなら違いを出せるのか」
と問いが深まれば、必要な情報も変わっていきます。
分析は、問いを深める作業
次に、意味のある差から確認事項が見えてきたら、一度、「この結果を受けて、次に何を検討すると判断に近づくだろうか?」
と考えてみてください。
その問いから、次に見るべき情報や、新しい比較の仕方が見えてきます。
分析を深めるとは、一度のマップで答えを出すことではありません。
見えたことから問いを進め、必要に応じて分析を更新しながら、判断に使える材料へ近づけていくことです。
第2シリーズでは、観察から始まり、件数や増減を読み、目的を考え、比較軸を置き、分類し、意味のある差を見つけ、次の問いや検討方向を提案するところまで進んできました。
次のシリーズでは、こうして得られた分析結果を、実際の判断や意思決定にどうつなげるかを、さらに考えていきます。
