特許分析コラム

2026-10-14
vol.17 生成AIに「やってもらう」だけでよいのか

第4回 生成AIに「やってもらう」だけでよいのか

作業の支援だけでなく、自分の考え方を広げるために使う

生成AIを使うとき、まず思い浮かぶのは、

  • 「公報を要約してもらう」
  • 「分類候補を出してもらう」
  • 「分析コメントを書いてもらう」

といった使い方ではないでしょうか。

これまで自分が行っていた作業を支援してもらえば、時間や負荷を減らすことができます。
ただ、生成AIにはもう一つの使い方があります。

答えを作ってもらうのではなく、自分の考え方を広げるために使うことです。

同じAIでも、使う目的で変わる

たとえば、パテントマップを見て、
「このマップの特徴をまとめてください」
と依頼すれば、生成AIが特徴を抽出してくれます。

これは、分析作業を支援してもらう使い方です。

一方、自分でマップを読んだ後に、
「私はこのように読みました。他にどのような見方がありますか」
と聞けば、使う目的が変わります。
自分では気づかなかった視点と比較したり、自分の読み方に偏りがないかを考えたりできます。

同じ生成AIでも、成果物を得るために使うのか、自分の思考を見直すために使うのかで、得られるものは違います。

自分で考えてから、AIと比べてみる

たとえば分析コメントを作る場合も、最初からAIに書いてもらうだけでなく、まず自分で考えてみます。
その後で、

  • 「この解釈に飛躍はありませんか」
  • 「別の解釈は考えられますか」
  • 「この仮説で見落としている可能性はありますか」

と生成AIに問いかけます。
すると、自分の考えとAIの提案との差が見えてきます。

重要なのは、AIの回答を正解として受け取ることではありません。

なぜ自分はその視点を持たなかったのか。
AIの提案のどこに納得できるのか。
どこは違うと判断するのか。

こうした比較を通じて、自分の判断理由を言葉にすることができます。

自分で考える → AIにも考えさせる → 比較する → 違いを考える

この使い方なら、生成AIとのやり取りそのものが、分析のトレーニングになります。

生成AIを「考える相手」として使う

生成AIには、反対意見を出してもらったり、別の仮説を挙げてもらったり、自分の分析の弱いところを指摘してもらうこともできます。

作業を代わってもらうだけでなく、こうした「壁打ち相手」として使えば、

  • 見る視点を増やす
  • 仮説の幅を広げる
  • 判断理由を明確にする
  • 自分の弱い部分に気づく

といった使い方ができます。

生成AIを使うときには、

「AIに何をしてもらうか」だけでなく、「そのやり取りから自分に何を残すか」

も考えてみてください。
生成AIは、作業を減らすためだけでなく、自分の考える力を広げるためにも使えるのです。

▶ 次回は

生成AIを作業支援にもスキル向上にも使えるとすると、次に考えたいのは「どこまでAIに任せるか」です。
次回は、AIに任せることと、人が担うことをどのように分けるかを考えます。

カテゴリ
タグ

プロフィール

葉山 英樹

特許分析コンサルタント。 特許分析の専門家として企業の知財戦略を支援。
日東電工株式会社にて技術開発・経営企画に従事し、 特許情報分析を活用した新テーマ創出支援を推進。 その後、ワイズ特許サービスにて パテントマップ分析・競合分析支援を実施。 現在は株式会社ケミストリーキューブにて 調査分析コンサルティングおよび人材育成支援を行っている。 本コラムでは、特許分析のノウハウや 分析に関する最新情報を発信しています。

新着記事

▲ TOP