差異の意味づけ
「差がある」から、何が言えるのか
前回は、依頼者が必要とする違いが見えるように、分類の粒度を考えることを取り上げました。実際に分類して企業間や技術間を比較すると、さまざまな差が見えてきます。
比較軸や分類の切り口を変えれば、さらに別の差が見つかることもあります。
すると、今度はこんな迷いが出てきます。
「いくつも差が見つかった。この中で、どの差を取り上げればよいのだろう?」
今回は、見つかった差の中から、分析にとって「意味のある差」をどう考えるかを取り上げます。
見つかった差を、すべて同じように扱わない
たとえば、- A社は温度予測が多い
- B社は冷却制御が多い
- A社は直近の出願が増えている
- 自社は温度検出に集中している
いずれも比較から見えた「差」です。
しかし、今回の分析にとって、すべてを同じように取り上げる必要があるとは限りません。
差を多く見つけることには価値があります。
ただ、そこから、今回の分析ではどの差に注目するのかを考える必要があります。
まず、本当に「差」なのかを確認する
その前に、見えている差が実質的なものかは確認しておきます。分類の粒度や対象期間の影響で、実際以上に差が大きく見えている場合があります。
また、特定企業の出願だけが件数を押し上げている場合は、業界全体の傾向なのか、その企業固有の動きなのかを確認する必要があります。
こうした前提については、これまでの「件数」や「増減」の回でも取り上げました。
ここでは、前提を確認したうえで残った差を、意味づけの対象として考えます。
「大きな差」と「意味のある差」は違う
次に考えたいのが、「差の大きさ」と「差の意味」は必ずしも一致しない、ということです。たとえば、競合A社とB社を比較して、二つの差が見つかったとします。
差①
温度検出について、A社とB社の件数に大きな差がある。
差②
件数差は小さいが、A社では、自社が開発を検討している「温度予測を使った制御」に継続的な出願がある。
件数だけを見れば、差①の方が目立ちます。
しかし、分析の目的が「開発テーマ候補の優先順位を考えること」であれば、差②の方が今回の検討には関係が深いかもしれません。
つまり、「最も大きな差」と「今回の分析にとって意味のある差」は、必ずしも同じではありません。
ここでいう「意味のある差」とは、今回決めたいことや検討したいテーマに関係する差、と考えることができます。

「意味づけ」は、差と次の検討を結びつける
意味のある差が見えてきたら、次に、その差が何につながるのかを考えます。見るポイントは二つです。
- この差は、どの判断につながるのか
- この差は、次に何を確認することにつながるのか
その先では、予測対象や制御方法、自社技術との重なりを見ることにつながります。
ここで、
「A社は予測制御を重視する戦略を取っている」
と、差の原因をすぐに断定する必要はありません。
その差が今回の検討にどう関係し、次のどんな判断や確認につながるのかを考える。
これが、ここでいう差異の意味づけです。
差を、次の判断材料にする
差を見つけたときは、- 「本当に差なのか」
- 「今回の目的に関係する差なのか」
- 「その差は、次の何につながるのか」
目立つ差をそのまま取り上げるのではなく、今回の検討に関係する差を選び、その先の判断や確認につなげる。
そうすることで、マップから見つけた差を、次の判断に使える材料として扱いやすくなります。
