特許分析コラム

2026-08-20
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差異の意味づけ


「差がある」から、何が言えるのか

前回は、依頼者が必要とする違いが見えるように、分類の粒度を考えることを取り上げました。
実際に分類して企業間や技術間を比較すると、さまざまな差が見えてきます。
比較軸や分類の切り口を変えれば、さらに別の差が見つかることもあります。
すると、今度はこんな迷いが出てきます。

「いくつも差が見つかった。この中で、どの差を取り上げればよいのだろう?」

今回は、見つかった差の中から、分析にとって「意味のある差」をどう考えるかを取り上げます。

見つかった差を、すべて同じように扱わない

たとえば、
  • A社は温度予測が多い
  • B社は冷却制御が多い
  • A社は直近の出願が増えている
  • 自社は温度検出に集中している
といった違いが見つかったとします。

いずれも比較から見えた「差」です。
しかし、今回の分析にとって、すべてを同じように取り上げる必要があるとは限りません。

差を多く見つけることには価値があります。
ただ、そこから、今回の分析ではどの差に注目するのかを考える必要があります。

まず、本当に「差」なのかを確認する

その前に、見えている差が実質的なものかは確認しておきます。
分類の粒度や対象期間の影響で、実際以上に差が大きく見えている場合があります。
また、特定企業の出願だけが件数を押し上げている場合は、業界全体の傾向なのか、その企業固有の動きなのかを確認する必要があります。

こうした前提については、これまでの「件数」や「増減」の回でも取り上げました。
ここでは、前提を確認したうえで残った差を、意味づけの対象として考えます。

「大きな差」と「意味のある差」は違う

次に考えたいのが、「差の大きさ」と「差の意味」は必ずしも一致しない、ということです。
たとえば、競合A社とB社を比較して、二つの差が見つかったとします。

差①
温度検出について、A社とB社の件数に大きな差がある。

差②
件数差は小さいが、A社では、自社が開発を検討している「温度予測を使った制御」に継続的な出願がある。

件数だけを見れば、差①の方が目立ちます。
しかし、分析の目的が「開発テーマ候補の優先順位を考えること」であれば、差②の方が今回の検討には関係が深いかもしれません。

つまり、「最も大きな差」と「今回の分析にとって意味のある差」は、必ずしも同じではありません。

ここでいう「意味のある差」とは、今回決めたいことや検討したいテーマに関係する差、と考えることができます。

「意味づけ」は、差と次の検討を結びつける

意味のある差が見えてきたら、次に、その差が何につながるのかを考えます。

見るポイントは二つです。
  • この差は、どの判断につながるのか
  • この差は、次に何を確認することにつながるのか
先ほどの差②のように、件数は目立たなくても継続的な出願が見られ、自社も予測制御を開発テーマとして検討しているのであれば、A社の関連出願は優先して確認する対象になります。

その先では、予測対象や制御方法、自社技術との重なりを見ることにつながります。

ここで、
「A社は予測制御を重視する戦略を取っている」
と、差の原因をすぐに断定する必要はありません。
その差が今回の検討にどう関係し、次のどんな判断や確認につながるのかを考える。

これが、ここでいう差異の意味づけです。

差を、次の判断材料にする

差を見つけたときは、
  • 「本当に差なのか」
  • 「今回の目的に関係する差なのか」
  • 「その差は、次の何につながるのか」
と順に考えてみてください。

目立つ差をそのまま取り上げるのではなく、今回の検討に関係する差を選び、その先の判断や確認につなげる。
そうすることで、マップから見つけた差を、次の判断に使える材料として扱いやすくなります。

▶ 次回は

次回は、意味のある差から次の問いを立て、さらに判断や提案につなげていく考え方を取り上げます。
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プロフィール

葉山 英樹

特許分析コンサルタント。 特許分析の専門家として企業の知財戦略を支援。
日東電工株式会社にて技術開発・経営企画に従事し、 特許情報分析を活用した新テーマ創出支援を推進。 その後、ワイズ特許サービスにて パテントマップ分析・競合分析支援を実施。 現在は株式会社ケミストリーキューブにて 調査分析コンサルティングおよび人材育成支援を行っている。 本コラムでは、特許分析のノウハウや 分析に関する最新情報を発信しています。

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