特許分析コラム

2026-07-08
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件数の増減を読み解く

時系列の変化から、次に見るべきものを考える

年次推移を、すぐに結論にしない

前回は、ある技術領域の件数を見たときに、の多さをどう解釈するかについて考えました。
今回は、そこから一歩進めて、件数が時間の中でどう変化しているかを取り上げます。
  • 件数が増えているのか。
  • 減っているのか。
  • ある時期から急に増えているのか。
このような時系列の変化は、年次推移のグラフを見るとすぐに目に入ります。

件数が増えていれば、「この領域は有望なのではないか」と見たくなります。反対に、件数が減っていれば、「関心が低下しているのではないか」と感じることもあります。

ただ、そこで結論づけるには、まだ材料が足りません。

まずは、前回と同じように、件数の見え方に影響する前提を確認しておきます。加えて、時系列で見る場合は、直近1〜2年の未公開分にも注意が必要です。
こうした前提を確認したうえで残る増減を、本コラムでは「実質的な増減」として考えます。

増減から、複数の仮説を考える

実質的な増減が見えてきたら、その変化から何が言えそうかを考えます。
ただし、件数の増減だけで言えることには限界があります。

出願件数が増えているなら、その領域で以前より多くの出願が行われている。減っているなら、以前より出願が少なくなっている。年次推移から直接言えるのは、まずここまでです。
そして、その背景には、いくつかの可能性があります。

たとえば、増えている場合には、技術開発が活発化している、製品化に向けた活動が進んでいる、権利化を強化している、新規参入企業が増えている、といった見方ができます。

一方で減少している場合には、技術の成熟により改良や差別化の余地が小さくなっている可能性があります。そのほかにも、出願方針の変更、他の技術テーマへの重点移行、ノウハウとして秘匿する割合の増加なども考えられます。

ただし、この段階では、どれが正しいかは分かりません。

なお、ここで挙げたのは一般的な見方です。実際には、技術分野や産業によって件数増減の背景は異なります。そのため、増減の背景を考えるときは、その技術分野の特性も意識しておきたいところです。

次に見るのは、出願人と発明の中身

増減から仮説を考えたら、次はその仮説を確かめるために、別の切り口で見ます。
まず、出願人です。
  • 複数の企業で増えているのか。
  • 特定企業だけが増えているのか。
複数の企業で増えているなら、その領域全体で出願活動が活発になっている可能性があります。一方で、特定企業だけが増えているなら、その企業が重点的に権利化を進めている可能性があります。

次に発明の中身を見ます。
  • 技術そのものを改良する発明が増えているのか。
  • 製品性能を高める発明が増えているのか。
  • 製造や量産に関する発明が増えているのか。
同じ件数増加でも、基礎的な要素技術、技術そのものの改良、製品性能、量産技術のどこで発明が増えているかを見ると、その技術がどの段階にあるのかを考える手がかりになります。

ここでS字曲線やプロダクトライフサイクルの考え方を持っていると、仮説や次に検討すべき方向性を考える手がかりになります。この考え方については、第3シリーズ[分析結果を意思決定につなげる]で解説します。

増減は、次に見るものを決める入口

年次推移のグラフは、分析の結論を示しているわけではありません。
次の分析では、年次推移のグラフを見たら、まず次の問いを置いてみてください。

「この増減から、どのような可能性が考えられるだろうか」
そして、
「それを確認するには、どの出願人の、どのような発明を見るべきだろうか」
と続けて考えてみてください。

この問いがあると、増減グラフは単なる件数の変化ではなく、技術の段階を読み、次に確認すべきことを考える材料になります。

▶ 次回は

ここまでは、件数や増減という事実から考えられることを見てきました。
ただし、分析目的が変われば、何を集計するか、どの切り口で見るか、どの結果を重視するかも変わります。

次回は、分析目的によって「何を見るか」「どう読むか」が変わることを考えます。
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プロフィール

葉山 英樹

特許分析コンサルタント。 特許分析の専門家として企業の知財戦略を支援。
日東電工株式会社にて技術開発・経営企画に従事し、 特許情報分析を活用した新テーマ創出支援を推進。 その後、ワイズ特許サービスにて パテントマップ分析・競合分析支援を実施。 現在は株式会社ケミストリーキューブにて 調査分析コンサルティングおよび人材育成支援を行っている。 本コラムでは、特許分析のノウハウや 分析に関する最新情報を発信しています。

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