特許分析コラム

2026-09-02
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図表で終わらない分析へ

分析を深める8つの視点をつなぐ「目的と問い」

パテントマップを作り、報告コメントを書く。
  • 「A社の出願が増えています」
  • 「この技術領域の件数が最も多くなっています」
どちらも、図表から読み取れる大切な事実です。

それでも報告の場で、

「それで、何が言えるのでしょうか」
「次に、何を見ればよいのでしょうか」

と聞かれ、答えに迷うことがあります。

第2シリーズでは、こうした「観察で止まらない」ための考え方を、8つの視点から取り上げてきました。
件数の見方、目的、比較軸、分類、差異の意味づけ。それぞれテーマは異なりますが、振り返ってみると、一つの流れとしてつながっています。

「何を知りたいのか」という問いを持ち、見えた結果をその問いに照らしながら、次に見るべきものを考えていくことです。

マップを作ってから考えると、観察で止まりやすい

特許情報分析では、企業別、技術分類別、時系列、用途別……と、さまざまなマップを作ることができます。

ただ、先にマップを作り、その後で「ここから何が言えるか」を考えると、
  • 「A社が多い」
  • 「この領域が増えている」
という観察が中心になりやすくなります。

一方で、分析の前に、

「この分析で何を決めたいのか」
「そのために、何を知る必要があるのか」

と考えておくと、マップを見る視点が変わります。

たとえば、
「研究開発テーマ候補の優先順位を考えたい」
のであれば、単に件数が多い領域を探すだけでは足りません。

競合はどこに出願しているのか。
最近動いているのはどの技術か。
自社技術と重なるのはどこか。
違いを出せそうな部分はあるか。

知りたいことが見えてくると、それに答えるために、何を比較し、どの粒度で分類し、どの公報を詳しく見るのかも考えやすくなります。

8つの視点は、問いに答えるためにつながっている

第2シリーズで扱ってきた8つの視点は、それぞれ独立した分析技法ではありません。

観察したら、
「見えたことと考えたことを分ける」

件数を見たら、
「なぜ多いのか。その件数をどう読むべきか」

分析目的を考えたら、
「この結果を何の判断に使うのか」

増減を見たら、
「誰の、どの発明が変化しているのか」

比較するときは、
「何を知るために、何と何を比べるのか」

分類するときは、
「今回必要な違いが見える粒度になっているか」

差が見つかったら、
「今回の目的に関係する差なのか」

そして最後に、
「次に何を確認すれば、問いをさらに深められるのか」

と考える。

こうして見ると、件数、比較、分類、差異は、マップを作るためだけの作業ではありません。
もとの問いに少しずつ答え、次に確認すべきことを見つけるための視点だと言えます。

問いに戻ると、次に見るものが見えてくる

分析を深めるとは、難しい解釈を加えることでも、強い結論を出すことでもありません。
まず問いを置き、

「この結果で、問いにどこまで答えられているだろうか」

と考えることです。

まだ足りなければ、比較対象を変える。
分類の粒度を変える。
対象期間を見直す。
必要な公報を詳しく読む。

そこで新しい事実が見えれば、最初の問い自体が変わることもあります。

これは、分析のやり直しではありません。
問いに答えるために、必要な情報へ少しずつ近づいている状態です。

第2シリーズで扱ってきた8つの視点は、そのために使うものだったとも言えます。
次の分析でマップを作る前に、まず一度、次の問いを置いてみてください。

「この分析で何を決めたいのか。そのために、何を知る必要があるのか。そして、今の結果でその問いにどこまで答えられているのか。」

この問いを持ちながら結果を見ることで、図表は単なる分析結果ではなく、次の確認や判断につながる材料になっていきます。

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プロフィール

葉山 英樹

特許分析コンサルタント。 特許分析の専門家として企業の知財戦略を支援。
日東電工株式会社にて技術開発・経営企画に従事し、 特許情報分析を活用した新テーマ創出支援を推進。 その後、ワイズ特許サービスにて パテントマップ分析・競合分析支援を実施。 現在は株式会社ケミストリーキューブにて 調査分析コンサルティングおよび人材育成支援を行っている。 本コラムでは、特許分析のノウハウや 分析に関する最新情報を発信しています。

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