分類結果の読み取り
分類の粒度は、依頼者が必要とする違いから考える「温度管理」の中身を聞かれたとき
パテントマップの分類結果を、技術者に報告したときのことです。「温度管理に関する出願が多いですね」
そう伝えたところ、次のような質問を受けました。
「温度管理といっても、具体的にはどのような技術ですか」
その場で、すぐには答えられなかった。
そんな経験はないでしょうか。
「温度管理」という分類自体が間違っているわけではありません。
ただし、依頼者が知りたいことが、競合各社の具体的な技術の違いや、自社技術との重なりである場合、「温度管理」という分類では粗すぎることがあります。
分類は、共通点をまとめる
分類では、複数の発明に共通する内容を取り出し、上位の言葉でまとめます。たとえば「温度管理」という分類には、以下のような異なる技術が含まれることがあります。
- 温度検出
- 温度予測
- 冷却制御
- 充放電条件の変更
- 異常時の停止制御
一方で、その中に含まれる具体的な技術の違いは見えにくくなります。
つまり、共通点をまとめることで全体像は見やすくなりますが、その分、個々の違いは見えにくくなるということです。
必要な粒度は、使い道で変わる
分類は、細かいほどよいわけではありません。依頼者が知りたいことが、温度管理領域の出願規模や全体的な傾向であれば、「温度管理」という上位分類でも十分な場合があります。
一方で、企業ごとの技術的な重点の違いを比較したい場合には、もう少し細かく見る必要があります。
たとえば、
- 温度検出
- 温度予測
- 冷却制御
- 充放電制御
さらに、自社技術との重なりや権利上の影響を検討する場合には、分類だけでは十分ではありません。
対象、課題、技術手段、効果、請求項の範囲など、発明の具体的な内容まで確認する必要があります。
つまり、分類の粒度は、公報に記載された技術内容の細かさだけで決めるものではありません。
依頼者が分析結果を何に使い、どのような違いを見たいのかを起点に考えることが重要です。
読み取りに必要な粒度を、事前に仮構造化する
分類結果から依頼者が必要とする違いを読み取るためには、その違いが見える粒度を、分類前に仮に構造化しておくことが有効です。こうしておくことで、どの階層に着目するのかについて、依頼者と分析担当者の認識を合わせやすくなります。
たとえば、同じ「温度管理」でも、
- A社は温度予測
- B社は冷却制御が多い
依頼者はその違いをもとに、
- 自社と重なる技術はどこか
- 詳しく確認すべき企業や公報はどれか
最初から完成させなくてよい
ただし、最初から完全な分類体系を作る必要はありません。公報を読み進める中で、当初は想定していなかった技術が見つかることがあります。
また、一つの分類の中に、性質の異なる発明が混在していることもあります。
その場合には、分類項目を追加したり、必要に応じて細分化したりします。
大切なのは、依頼者が必要とする違いを捉えられる粒度を仮置きし、分析を進めながら調整していくことです。
次の分析では、分類を始める前に、以下の二つを確認してみてください。
「依頼者は、この結果を何の検討に使うのか」
「その検討には、どの違いまで見える必要があるのか」
分類の粒度は、依頼者が必要とする違いから逆算する。
必要な違いを事前に仮置きする一手間が、分類表を単なる件数集計ではなく、次の判断につながる材料へ変えていきます。
