vol.2 なぜ「とりあえず分析」は途中で止まりやすいのか
新テーマ創出支援の分析で、実際に起きたこと
前回は、特許情報分析を図表で終わらせず、次の議論につなげるために、着手前に「半歩先」を考えておくことを取り上げました。では、その半歩先を意識しないまま分析を始めると、どこで止まりやすくなるのでしょうか。
過去の経験をご案内させていただきます。
約2000件の特許を分類し、パテントマップも作成したものの、この先どうすればよいかわからない」
背景には、主力事業の伸び悩みがありました。
知財部門として、特許情報を使って何か新しいテーマを提案したい。
その思いで、分析は丁寧に進められていました。
- 分類もしている。
- マップも作っている。
- 自社と他社の違いも、ある程度は見えている。
「どこから見ればよいのか」
「どの領域を次に確認すればよいのか」
「何を手がかりにテーマ候補を探せばよいのか」
で止まってしまっていました。
これは、分析量が足りなかったという話ではありません。
問題は、マップを見た後に、どのような順番でテーマ候補を探すのか。
その「探し方」を、分析前に十分考えられていなかったのです。
マップを増やしても、自然に見えてくるとは限らない
新しいテーマを探す分析では、いろいろな切り口が考えられます。技術分類別に見る。
出願人別に見る。
時系列で見る。
自社と競合を比較する。
どれも必要になり得る見方です。
しかし、切り口を増やせば、テーマ候補が自然に見えてくるとは限りません。
むしろ、マップが増えるほど、
「どの図から見ればよいのか」
「どの違いに注目すればよいのか」
「次に深掘りする領域はどこなのか」
が見えにくくなることがあります。
ここで起きているのは、マップの作り方の問題ではありません。
問題点は、テーマ候補の探し方を考えないまま、途中の作業であるマップ作成に入ってしまったことです。
今回の半歩先は「探し方を考えておく」こと
今回の半歩先は、「探し方を考えておく」ことです。探し方を考えておくとは、最初から有望テーマを決めることではありません。
どの順番で見れば、テーマ候補に近づけそうかを仮置きしておくことです。
たとえば、まず自社と他社で違いが大きい領域を見る。
次に、近年出願が増えている領域を見る。
さらに、自社の既存技術とつながりそうな周辺領域を見る。
このように、探す順番を置くだけでも、どのマップを作るか、どこから見るかは変わります。
同じマップでも、探し方を考えないまま見ると、単なる一覧になりやすいです。
一方で、探し方を考えておくと、マップはテーマ候補に近づくための材料になります。
まずは「探す順番」を一文で書く
探し方を考えるといっても、最初から精密な分析手順を作る必要はありません。まずは、マップを作る前に、
「今回は、どの順番でテーマ候補を探してみるのか」
を一文で書いてみることです。
たとえば、
「今回は、自社出願が少なく、競合出願が増えており、既存技術との接点がありそうな領域からテーマ候補を探してみる」
という程度で構いません。
この一文があるだけで、どの母集団を使うか、どの切り口で見るか、どのマップを優先するかが考えやすくなります。
次の分析では、マップを作る前に、まず「探す順番」を一文で置いてみてください。
その一文があることで、図表は「作ったもの」で終わりにくくなり、「次のテーマを探す材料」として使いやすくなります。
